値上げの成功と失敗

値上げすると客離れが起こるのが普通だ。
値上げ後の客数については2つの対照的な企業がある。
一つは値上げにより客離れを起こした丸亀製麺だ。
もう一つは、ほぼ毎年値上げしているにもかかわらず客離れを起こしていないカレーのココイチ。
なぜ、丸亀製麺は客離れを起こし、ココイチはそうでないのか?
ココイチが客離れを起こさなかったことにその答えがある。
なぜなら、通常は値上げは客離れを起こすので、丸亀製麺を見ても答えは見つからないからだ。
記事によると、ココイチが客離れを起こさなかった理由は次の2点にある。
- カレーソースとトッピングが別建て価格になっており、それぞれの値上げ幅が少なかったこと
- カレーの辛さやトッピングで自分好みにカスタマイズできるため固定客が多いこと
値上げ自体に気付かなかったお客さんが多かったので、客離れを起こさなかったというのが1つ目の理由の意味だ。
2の理由の意味は自分好みのカレーが「ココイチでしか」食べられないので、値上げ後でも選ばずを得ないということだ(つまり、こういったお客さんは値上げの許容範囲が広い)。
2つの理由のうち、客離れを起こさなかった主要因は2つ目の理由だろう。
なぜなら、幅広く薄い値上げしたとしても支払う時に気付くものだからだ(数回食べれば気付くだろう)。
気付かないお客さんは、「ココイチでなければダメ」な細かな値上げを気にしない固定客だ。
ココイチと比べて丸亀製麺はどうだろうか?
丸亀製麺もトッピングについては自分の好みを選ぶことができる。
しかし、ベースとなる出汁や麺の選択の幅は広くない。
丸亀製麺はココイチのようなカスタマイズを求める固定客が少なく、価格に敏感なお客さんが多いのだろう。
だから、値上げによって客離れが起こる。
低価格で提供しようとすれば、一般にお金のかかるお客さんに合わせた個別的な対応(カスタマイズ)は難しくなる。
ココイチの成功の秘訣は、低価格と出来る限りのカスタマイズ性も追求したことにあるのだろう。
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