値上げの理由!入湯税引き上げに思う
温泉地として有名な那須塩原市で、入湯税が引き上げられるようだ。
コロナ禍の中で、どこの観光地もお客さんの減少に悩んでいる。
那須塩原市の温泉も例外ではないのだろう。
那須塩原市は安全をアピールすることを目的に、定期的なPCR検査を実施するようだ。
PCR検査を自費診療でする場合にはお金がかかるが、この費用を入湯税の値上げで賄うということだ。
この定期的なPCR検査がコロナ対策に有効であるかどうかはひとまず置いといて、顧客視点でこの入湯税の引き上げについて考えてみたい。
入湯税の引き上げは、顧客にとって実質的な値上げになる。
値上げは最大200円であるので、大したことではないと思う人もいるだろう。
しかし、問題はこの値上げが顧客にとって受け入れられるものかどうかということなのだ。
この入湯税の値上げに対して、温泉旅館の経営者の中には「入湯税の引き上げはお客に納得してもらえない」と考えている人もいるようだ。
本来、那須塩原の温泉旅館などがコロナ対策の安全性を顧客に主張したいなら、温泉旅館が自費負担でPCR検査を受けるべきだろう。
実際、顧客との接触の多い商売をする経営者のなかには、自主的にPCR検査を実施しているところも多い。
自己負担でPCR検査を実施し、安全性を主張するならわかる。
しかし、顧客が費用を負担しているのにもかかわらず、うちの旅館は安全ですと声高に主張されても納得できない顧客も多いだろう。
PCR検査による安全性を売り(アピール)にしたいなら、それにかかる費用は各事業者が負担すべきだと思う。
もちろん、宿泊代にPCR検査費用の一部が反映してしまう旅館もあるかもしれない。
宿泊サービスは価格だけで決まるわけでないので、そのような宿泊費の値上げに納得する顧客はそこに宿泊するし、そうでなければ別の旅館を選べばいいだけだ。
入湯税の値上げのような一律な対策は、旅館自体の商売の幅(差別化)や顧客の選択の幅を狭くすることになる。
なにより、他の温泉地しない費用負担を、那須塩原温泉は顧客に転嫁するんだという悪いイメージを顧客に抱かせてしまう可能性もある。
また、PCR検査のために入湯税を引き上げるなら、コロナ禍が落ち着いてら那須塩原市は入湯税を引き下げるのだろうか?
入湯税の引き上げは決定したようだが、事前に行われた那須塩原温泉旅館協同組合が加盟施設に行ったアンケートでは、PCR検査に半数超、入湯税引き上げで7割超が反対したそうだ。
このアンケート結果を見ると、行政に比べて那須塩原温泉で旅館業を営む経営者の多くは、長期的な顧客視点で物事をとらえているようだ。
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