医療逼迫問題について

2回目の緊急事態宣言が1都3県に発出された。

感染者の急増で医療逼迫が差し迫った危機となっているからだ。

私は経済を重視する立場であるが、ここまで感染が拡大してくると、医療崩壊も十分考えられるので、制限もやむを得ないとも思う。

営業自粛要請を受ける事業は我慢を強いられるが、時短要請に応じた場合、今回は事業者ごとではなく、1店舗ごとに時短協力金が6万円出るので(なお、持続化給付金、家賃支援給付金は延長されない方針)、前回より幾分助かる経営者も多いだろう。

 

感染者が日本と桁違いの欧米諸国で医療崩壊が起きていないのに、医師や看護士数でそれほど劣っているわけでない日本で医療崩壊の危機が叫ばれているか疑問に思う人も多いかもしれない。

そもそも新型コロナは2類相当「以上」として扱われているが、感染者が増えてくるとコロナ対応できる病院数などの医療リソースと合致しないため医療がひっ迫する危険性がある(以前、当ブログでも関連することを「新型コロナと経済活動」で書いた)。

 

この点について切り込んだ記事がデイリー新潮に書かれていたのでシェアしよう。

デイリー新潮記事:医師、保健所から「コロナをインフルと同じ5類指定に」という悲鳴 声を大にして言えない理由

 

新型コロナウイルス感染症は、昨年の2月1日に指定感染症に指定され、結核やSARS、MERSなど2類感染症相当の措置がとられることとなったがそれだけではないため2類相当「以上」と言われる。

つまり、その後2度の政令改正により、2類感染症では行われない、無症状病原体保有者への適用(2月14日施行)、建物の立ち入り制限・封鎖、交通の制限、発生・実施する措置等の公表、健康状態の報告、外出自粛等の要請、都道府県による経過報告が追加適用(3月27日施行)されているのだ。

 

もし、新型コロナを5類相当にすれば、都道府県の対策は調査のみとなり、入院勧告や感染者の隔離、入院施設や宿泊療養施設の確保、行政検査や濃厚接触者の追跡、クラスターつぶしの作業は不要となり、医療リソースに余裕が出る。

一方、5類では「突然の重症化」への対応に疑問が残るとして、問題があると考える人も多いはずだ。

しかし、感染者が増加するなかで、2類相当以上の対応が今後も維持できるのか疑問が残るところだ。

入院勧告しても実際に入院できない、感染者の隔離をしたくとも宿泊療養施設が足りなければ自宅隔離(実質的に隔離と言えるのか)が今後増えていくかもしれない。

 

急に、医療リソースを増加させることができない以上、メリハリの効いた対応をするしかないだろう。

たとえば、法律的に可能かどうかはわからないが、重症化しやすいリスクのある人を優先し2類相当以上として扱い、それ以外の大部分は5類相当のように扱うようにすればいいと思う。

 

現実問題として、欧米諸国に比べて新型コロナに対応できる医療リソースが少ない日本で、すべての感染者を厳密に2類相当以上として扱うのはもともと無理があったのだ。

できないことをできると言って、現実にそれ以下の対応しかされないほうがより不満が生じる可能性があるだろう。

 

なお、感染者がはるかに上回る欧米諸国で医療リソースに余裕があるのは、公立病院数が多いからだそうだ。

効率性や生産性のもと、公立病院をなくすことが、果たして適切な判断であるかもう一度考える必要がありそうだ(効率性の追求自体が無駄になっていないか?)。

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