なぜ?病床数不足の危機がこんなに早く訪れるのか

医療崩壊の危機が叫ばれている。

はるかに多い感染者に対応している欧米諸国に比べて、なぜ日本の医療はこんなにも早く医療崩壊の危機を迎えてしまうのだろうか?

 

結論を言ってしまえば、新型コロナに対応できる病院が圧倒的に少ないからだ。

 

実は人口1000人あたりの日本の病床数は、欧米諸国に比べ突出して多い。

この病床数はあくまでも総数であり、病床には「精神病床」、「感染症病床」、「結核病床」、「療養病床」、「一般病床」などといった種類があるそうだ。

新型コロナのような指定感染症は、病床ならどのようなものでもいいというわけではなく、「感染症病床」での対応が原則のようだ。

厚生労働省の調査によると、病床総数は160万ほどであり、「感染症病床」は、そのうち約2千床(全病床の0.1%ほど)しかない。

参考:厚生労働省医療施設動態調査

この新型コロナ対応できる病床の圧倒的な不足に対して、緊急やむを得ない場合の「感染症病床」以外の病への入院を構成労働省は例外的に認めている。

この例外的に認められるのは、基本的に約90万床、全病床のおよそ54%ある「一般病床」になるだろう。

一般病床数がこれだけの数あれば、新型コロナになんとか対応できるのではないかと素人目には思えてしまう。

 

しかし、残念ながら一般病床の多くは民間病院にあり、公的な病院と違い受け入れを強制できないため、民間病院の新型コロナ患者の受け入れ水準はとても低い(10%程度)。

この点について、医師や看護師などの使命等を強調し、協力要請を主張する人もいるが、無駄である(仮に要請に応じる病院があっても感染者の増大に対応できるほどの数を確保できないだろう)。

そもそも、新型コロナに対応できるようなマンパワーやノウハウがないだろう(医者はどんなことでも対応できるスーパーマンではない)。

このことはテレビ等で放送されている医療現場の状況を見ている人はわかるはずだ。

また、新型コロナ患者を受け入れることによる経営上の問題や法的リスクもある。

このようなことを考えれば、民間が「はい、そうですか」と言って引き受けるわけがなく、新型コロナ患者の受け入れを拒んだからと言って非難することはできない。

どうしても民間に引き受けさせたいというなら、法的根拠を持って強制する必要がある。

しかし、この場合、医療の質という点で現在の水準は望めないかもしれない。

つまり、欧米諸国並みの死亡率になる可能性も否定できないだろう。

「ハコ」さえあれば、なんとかなるというものではないのだ。

 

結局、新型コロナ感染者の急増に対応できずに、いち早く医療崩壊の危機を迎えてしまうのは、下記の記事にあるとおりだろう。

失敗の本質は「『必要なところに資源を投入し、長期戦に備える』というロジステックス(兵站)の発想の欠如にあった」(デイリー新潮:「基幹病院で医療崩壊の真相 勤務医たちから聞こえてくる医師会への本音」)

なお、上記の記事は良い記事なので一読をお勧めする。

 

さて、当ブログでは新型コロナに関する記事を書いているが、新型コロナ自体に特段の興味があるわけではない。

新型コロナといった有事に対して脆弱性をあらわにした日本の医療体制が経営にヒントを与えると思ったからだ。

平時が永遠に続くという前提に立つと、有事に対する備えは「無駄なもの」、つまり、効率性や生産性に悪影響を与えるので排除されやすい。

しかし、いざ有事が起きた時に柔軟に、そして迅速に対応するためには、現状では無駄に思えるものであってもバッファとして備える必要があるということだ(きっちきっちだと崩壊は早い)。

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