御社の経営理念は大丈夫か?

経営者であれば、最高のチームを作りたいと思うものだ。従業員に最大のパフォーマンスを発揮してもらうためには、経営者の考え方や思いについて信頼してもらわなければならない。この経営者の信念や哲学を言語化したものが経営理念であり、これが従業員にしっかり伝わったときに経営理念はその力を発揮する。経営理念が従業員の間で共有され、企業独自の価値観が形成されると、やがて企業文化が醸成される。こうなると、あれこれ細かく指示しなくとも従業員の行動は、企業の方向性とぶれることはなくなるし、より大きな価値を企業にもたらす。

 

しかし、経営理念は機能していなければ単なる空虚な言葉である。それどころか経営者の思いを従業員に上手に伝え、理解されていないと、富士そばのような問題が生じる可能性がある(以前、富士そばの残業未払問題について記事を書いたので興味のある方はご覧ください)。富士そばに限らず、明文化された経営者の思いが、従業員の行動と一致している会社は実際にはそれほど多くないのかもしれない。かつてエンロンという巨大企業(電気・ガス)がアメリカに存在したが、不正行為とそれを隠蔽する不正経理により破綻した。このエンロンの経営理念は「誠実。コミュニケーション。他社への敬意。卓越性。」だそうだ(破綻理由から見ると、この理念はもはやギャグと思える)。こういった格好つけたスローガンは、空虚な言葉以外のなにものでもないだろう。

 

経営理念のスローガンに空虚さを感じている経営者は、経営理念を明文化としなくともよいと考えるかもしれない。しかし、やはり経営理念の明文化は必要だ。経営理念が経営者の頭の中だけにあるようでは従業員に伝わらないからだ。難しいにもかかわらず、多くの企業が経営理念を言語化し、それをスローガンとして掲げるのは、その効果に対する期待が大きいからだろう。松下幸之助は著書(実践経営哲学)のなかで経営理念を確立することの重要性を説いている。それは松下幸之助が経営な健全な発展を生むためには経営理念がなくてはならないと身をもって体験したからだそうだ。一方で、松下幸之助が事業を始めた当初から「明確な経営理念」をもっていたわけではないそうだ。松下幸之助のような大経営者であっても経営理念を確立することは難しいということだだろう。だから、私たち中小企業経営者が最初から高邁な経営理念を作成できるなど思わないほうが精神衛生上はいい。従業員などに伝えていく中でよりよいものにしていけばいいのだ。

 

経営理念など役立たずだと排除するのではなく、常に伝えて従業員と共有化していく努力をしていかなければならない。カンブリア宮殿というテレビ番組のなかでニトリの似鳥昭雄氏が経営理念などを従業員に唱和させていると言っていた。このことについて司会の村上龍氏は若干批判めいた感じに見えたが、「伝えなければわからない」と似鳥氏は意に介さないように答えていた。従業員に唱和させるというやり方は確かに昭和的な泥臭い感じはするが、その伝える手法などどうでもよく(こちらに重きを置かれてしまうことが多いが)、あくまでも経営者の思いを従業員と共有することが本質なのだ。この思いを伝えるという過程を面倒だと思う経営者の会社は優れた経営理念を確立することなどできないだろう。

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