人材不足は本当に倒産原因なのか?
以前、2018年の人手不足倒産の記事を書いた。
2018年度(2018年4月-2019年3月)の「人手不足」関連倒産は400件(前年度比28.6%増、前年度311件)に達した。年度ベースでは、2013年度に調査を開始以来、これまで最多だった2015年度(345件)を上回り、最多件数を塗り替えた。(東京商工リサーチ)
人手不足による倒産は産業別ではサービス業他が105件で最多だそうだ。
その内訳は次のとおり。
- 飲食業 23件
- 老人福祉・介護事業 12件
- 医療関係 10件
- 人材派遣業 9件
- 建築設計業を含む土木建築サービス業 7件、など
(詳細は東京商工リサーチのホームページをご覧ください)
しかし、このようなニュースを聞くと私はいつも思う。
「人手不足」が本当に倒産の原因だろうかと。
そもそも中小企業にとって良い人材を確保することは難しい。
簡単に人を採用できた時代はむしろ少ないくらいだろう。
儲かって儲かって仕方がないのに、人が来ないので事業が回らずに倒産に至ってしまう事業はどのくらいあるのだろう。
確かにそんな企業もあるかもしれないが、おそらくそんなに多くないだろう。
そう考えると、倒産する企業は変化に柔軟に対応できていないことが真の原因なのではないかと思う。
上記のサービス業の内訳をもう一度見て欲しい。
若い人が避ける業種が多いと思わないだろうか?
サービス業のこれらの業種は、給料の割にはきついといった理由で避けられることが多い。
とはいえ、経営者側にとっては、望むような給料を今すぐ出すことは経営の面から難しいだろう。
もちろん、給料は雇われる人にとっては重要な条件には違いないが、それだけで決定するわけではない。
要は、給料と仕事量のバランスが問題なのだ。
今までのやり方が執着して、変化することができないから人が来ない。
また、給料を上げると経営が傾くほどビジネスの基盤が弱いことも解決すべき問題だろう。
実際、慣れた過去のやり方から脱却し、好調な中小企業のニュースも聞くことが多い。
逆を言えば、ニュースになるくらいそいういった企業は少ないということだ。
中小企業はフットワークの良さが最大の武器にもかかわらず、それを使わずに止まっていることが多い。
変化に果敢に対応しようと常に考え続ける企業は、安価な労働力に頼って変化しない企業に負けないだろう。
変化しない企業が淘汰された後は、「適正な価格」で販売でき、人材確保に悩むこともなくなるはずである。