お寺が無くなる!?

経営環境の変化に対応することは、企業にとって重要であるが、口で言うほど簡単ではない。

なぜなら、経営環境の変化に気づいていても、企業の現状を変えることを恐れ、気づかぬふりをしてしまうことが多いからだ。

 

コロナ禍の影響でお寺の経営状態が悪化している。

参考記事:PRESIDENT Online「国は見殺し「コロナでどんどん消滅」で国民が被る深刻な影響

 

記事によると、コロナ禍により法事が減り、葬儀も簡略化されるケースが劇的に増えたそうだ。

そのため、2020年の寺院の収入は前年から半減したそうだ。

コロナ禍が長引けば、経済的に困窮し消滅する寺院が増えるという。

 

新型コロナウイルス感染拡大は未曽有の危機であり、経営者が気づくことができる大きな変化だ。

しかし、突然のこういった変化に迅速に対応することは難しい。

 

実は、寺院を取り巻く経営環境の厳しさはコロナ以前から言われていた。

死生観の変化により、墓じまいや海への散骨などのお墓を作らない供養が増えたためだ。

このような小さな変化は、葬儀や法事をメインとする寺院の収入を悪化させる要因だ。

一方、高齢化社会の到来により、2007年以降、死亡数が出生数を上回る状態が続いており、これは寺院の収入を増加させる要因となる。

要は、今後の寺院経営にとってどちらがメインストリームになるかであるが、寺院経営にとっては厳しい状況が続くだろう。

なぜなら、寺院との関係性が希薄になったことにより、多死社会がそのまま寺院の収入増になるとは限らないからだ。

 

かつて有名人の葬儀は大規模なものが多かったが、最近では小規模(近親者のみ)で行われていることが多くなってきたように感じる。

加えて、実際に簡略化されたコロナ禍の葬儀を経験する人も増えた。

文化的な慣習として祖先と同じように受け入れていたことが崩れてきていると思う。

この根柢の考え方(つまり、死生観)の変化は見過ごすことができないことだ。

寺院経営にとってプラス要因のみを見て、こうした根柢の変化を見て見ぬふりをするなら、なるほど経済的に困窮し消滅する寺院は確かに増えるだろう。

 

小さな変化があっても、自分には関係ない、大した影響を与えないと見過ごしてしまう経営者がいる。

そして、このような経営者は経営環境が変化すると、うまく対応できずに撤退することが多い。

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