倒産社長の告白

コロナ禍の影響による倒産が急増している。
株式会社帝国データバンク:新型コロナウイルス関連倒産
どこか他人事に感じている経営者もいるだろうし、今そこにある危機と感じている経営者もいるかもしれない。
残念ながら今回のコロナ禍で、健闘むなしく倒産してしまった社長もいる。
次の記事の社長も、コロナ禍で18年間経営してきたアパレル会社を倒産させてしまった、そんな社長の一人だ。
神戸新聞NEXT:「倒産します、すいません」ぼろ泣きでLINE送り続けたアパレル経営者 嗚呼コロナ
この社長の場合、昨年の暖冬の影響で経営状況が芳しくなく、リスケをしていたようだが、年初からのコロナ禍が追い打ちをかけた。
新型コロナウイルスの影響による資金繰り悪化に対応するため、銀行に追加融資(新型コロナウイルス感染症関連貸付であろう)の申請をしたそうだ。
しかし、残念のことに結果的にこの追加融資は実行されなかった。
実は、リスケ後の追加融資は非常に困難である。
リスケは約定どおり返済できないということなのだから、銀行にとってその会社の信用がかなり落ちている状態なのだ。
だから、銀行の側から見れば、現在貸している分の返済を正常化することをまず先にしてほしいと思うのはある意味しかたないことなのだ。
この社長の場合、運が悪いことは、リスケ直後にコロナ禍に見舞われたため、既存の借入金返済の正常化に向けた時間的余裕がなかったことだ。
この社長は、銀行に次のような対応をされたようである。
担当者が言ったんです。「返せるとこに優先的に貸すんです」って。コロナに打ち勝つためにたくさんの会社が融資を求めているんです。なのに「御社は無理ですよね」というようなことも言われました。
新型コロナ感染症関連貸付制度について、申請すれば支援を受けることができると思っている経営者の方もいるかもしれない。
しかし、国の支援予算に枠がある以上、この社長の経営する会社と同じような会社が、今後多く出てくるだろう。
人は何も問題が起きないときには、その状態がいつまでも続くものだと考えて危機感を持つことが難しいものだ。
もう右肩あがりに安定的に成長する時代は終焉したのだ。
是非、中小企業経営者の方には危機感を持って経営していただきたいと思う。
この会社の社長には再起してもらいたいと思う。
受けた恩やビジネスの失敗はビジネスで取り返してもらいたいと思う。
自己破産しても会社は設立できるし、条件はあるが「再挑戦支援資金」のような融資制度もあるのだから。