日本学術会議の任命拒否問題

日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命が、政府によって拒否された。

これについては、学問の自由を侵すと反発する声もあるようだ。

 

日本学術会議(以下、学術会議とする)は国立アカデミーの一つであり、先進国の多くはそのような団体を持っている。

ちなみに、国立アカデミーは、政府より金銭的支援や公認を受けており、学術的な研究活動や、学術分野における標準化を行っている学術団体のことである。

国立アカデミーは、ノベール賞の選考委員でもあるスウェーデン王立アカデミーが有名だ。

 

学術会議は多くの機能を持つようだが、最も重要なものは助言機能にあるようだ。

つまり、時の権力や思想に左右されることなく、長期的・普遍的な価値のある質の高い助言を政府などに行う。

 

任命権に拒否権が含まれるかどうかという法律的な解釈については私にはよくわからない。

しかし、政府などに中立的な助言を行うという機能面からみると、学術会議が推薦した候補が拒否されることは政府の顔色を窺った推薦になってしまうリスクはあるかもしれない。

とはいえ、拒否権に反対する人が言う学問の自由を侵すというのは言い過ぎだろう(学問の自由とは、研究・講義などの学問的活動において外部からの介入や干渉を受けない自由)。

学術会議の活動は研究などの学問的活動をメインにしていないし(学術会議の役割)、そのメンバーは、所属する大学等での研究などについて介入や干渉があったわけではないからだ。

学者に対するいかなる意見や制限について、学問の自由を侵すと非難される方が怖く、自由のないように感じる。

 

一方、拒否権賛成の人が言う、推薦人を拒否されるのが嫌なら政府から独立した民間団体でやればいい(つまり活動資金を自分で集める)というのも無理があるだろう。

というのも、各国のアカデミーで活動資金を自分たちで賄っているところはないようだからだ。

これは、すべての活動資金を全額自分たちで賄うというのは現実的ではないからだろう。

実際、欧米のアカデミーは非政府組織のようだが、その活動資金の30%から80%は政府の支援を受けているそうだ(「各国アカデミー調査報告3-5-2」日本学術会議 国際協力常置委員会)。

 

このように、会員の選任について、評価が分かれるのは学術会議の中立性・独立性の受け止め方が人によって違うからだ。

結局のところ、学術会議が中立性・独立性を保ち、社会の信用を得るためには、上記報告書が言うように(「各国アカデミー調査報告3-2-3」日本学術会議 国際協力常置委員会)、選出方法において透明性を確保することが必要だろう。

『アカデミー会員は学術上高い評価を得た者で構成されいるべきであり、会員判断はアカデミー会員のみ可能である』(つまり、政府に任命拒否権がない)というなら、推薦人の評価の根拠(学術上高い評価を得ているという客観的証拠)について開示する必要がありそうだ。

もし、選任の透明性を確保できないなら、「学術上の高い評価を得た」という評価基準ではなく、何か別の判断基準で選ばれたととられるのは仕方ないだろう。

アカデミーは、へっぽこ学者の寄合ではなく、『一流の科学者で構成され、その国における学術界の頂上に位置付けられている。すべてのアカデミーは、科学を通して実質的に社会に寄与・貢献する学術の最高機関として社会の中に定着し、国民に認知』されるものであるから、透明性の確保は絶対必要だ。

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