大口取引の落とし穴

中小企業にとって、大口得意先と契約できることはとてもうれしいことだ。
これで経営が安定し、苦労しなくて済むと思うからだ。
しかし、大口取引先への過度な依存は、思いがけない落とし穴にはまる危険がある。
ダイヤモンドオンラインの記事:コンビニと取引して経営悪化、撤退を決断した食品メーカー2社の末路
大量生産によりコストダウンが図れるなど、大口取引先にはメリットがある。
また、中小企業にとっては、小口の取引先に個別に対応するといった煩雑さから解放されるため、精神的に楽に感じることも多い。
しかし、大口取引先は当然のことながら、品質や価格などに高い要求をしてくることが多い。
この要求に応じるため、小口取引先を縮小したり、借金して最新設備を導入したりするところも多いだろう。
こういった兆候は危険だ。
なぜなら、大口取引先への依存が進むからだ。
大口取引先への依存は確かにメリットもあるが、価格交渉力を失うなど(大口取引先の言いなりになる)デメリットも多い。
また、大口取引先は経営環境に応じて、戦略をドライに転換する。
こういった場合、中小企業の事情などさして考えずに、発注を減らしたりする。
あなたの会社は多数の会社のなかの1社にすぎないからだ。
もし、最新設備を導入したものの、大口取引先からの受注が大幅に減ったら悲惨だ。
多額の固定費負担が重くのしかかり、損益分岐点が大幅に上昇する。
この悪路にはまった会社が、紹介したダイヤモンドオンラインの記事の会社だ。
では、売上の構成比で言うと、どのくらいの比率が危険な依存となるのだろうか?
10%とか30%とかいろいろ言われているが、実は明確な基準となるような比率はない。
なぜなら、業種、規模、資本など経営状況によって一概に言えないからだ。
つまり、危険な一社依存の比率はあなたの会社が定めるしかない。
ざっくり言うと、今ある売上高の何%減少したら立ち直れないほどのダメージを受けるか、その比率が1社依存してはならない水準だ。