デフレの弊害
日本はいまだデフレから脱却できないようだ。
長い間のデフレ環境で失ったものの一つに、私たち消費者の「目利き能力」があるのではないかと思う。
商品やサービスを買う時に、なによりも「価格の安さ」を重視してしまう。
もちろん、同じ機能であるなら、消費者にとっては安い方が良いに決まっている。
しかし、消費者に徹底的に安さを求められてしまうと、生産者は良い意味での「遊び」ができなくなる。
この「遊び」こそが日本製品の面白さを生み出していたのではないかと思う。
「遊び」の部分を評価してもらえるというのは、生産者にとってもうれしいことだ。
もっと、お客さんを喜ばせたい、サプライズしたいという欲が出る。
もっとも、趣味やファッションなどについては徹底的にこだわる消費者も多い。
しかし、それ以外については「価格」でしかモノを評価しなくなっていて、そういった評価方法が広がっているように感じる。
こだわって商品を買うのは、「目利き能力」があるということなのだから、他の商品についてもできるはずだ。
しかし、自分の興味のあるモノ以外については、どこまでも冷たい消費者が多いようだ。
いわゆるクレーマーの問題は、目利きが出来ない消費者が増加している一因であろう。
こういった人は自分の出したお金をはるかに超える価値を得ることができないと我慢ならないのかもしれない。
あるいは、モノの「原価」は材料費のみだけだと勘違いしていて、売り手が暴利を貪っていると思うのだろう。
いずれにしろ、目利きがいない経済社会は窮屈で、面白いモノに出会える可能性は低くなるだろう。