不適切会計とは?
不適切会計、不正会計といった用語を新聞で目にすることが多くなった。
不適切会計、不正会計、あるいは粉飾とは、何なのかを知っているだろうか?
ざっくり言うと、会計上の誤りが「不適切会計(正しくは不適切な会計処理、以下、不適切会計とします)」だ。
正確に言うと、「意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り(監査・保証実務委員会研究報告第25号)」を不適切会計と呼ぶ。
会計処理の誤りは修正しないままだと、作成した財務諸表にも間違い(財務諸表の虚偽表示)が含まれる。
ケアレスミスなどによる会計処理の誤りも、投資家や株主などを欺くために意図的に会計処理を操作することも「不適切会計」なのだ。
しかし、意図的な不適切会計により誤った財務諸表を作成することは「不正」と呼ばれる。
報道でいう「不正会計」はこの「不正」のことを意味している。
「不正」というと、経営者によって行われるものだと思うかもしれないが、従業員の着服により財務諸表に間違いがある場合も不正だ。
不正を行ったものはその事実を隠蔽するため、間違った財務諸表が作成されるのが一般的だ。
時事ドットコム:着服の元幹部が「不適切会計」 過去決算を調査
時事ドットコムの記事の中で、着服を行った元幹部が『不適切会計に関し、着服問題とは別』の意味は、経営者による「不正」があるということを匂わせているのだ。
粉飾決算は、経営者が意図的にうわべだけ財務諸表を飾ることを意味するため「経営者による不正」である。
なお、意図的でない不適切会計(ケアレスミスなど)で最終的に誤りが含まれる財務諸表を作成した場合は「誤謬(ごびゅう)」という。