下請けから脱却はできるのか?

ニュースイッチの記事「悲願の孫請け脱却も、ゼネコンからの直接受注リスクを軽視し倒産」より。
この記事の会社は電気工事や給排水工事などを手掛ける建設業だ。
孫請け業者として4億円ほど年商があったが、伸び悩んでおり、平成15年頃からゼネコンからの直接受注にシフトしてきたそうだ。
その結果、受注単価の引き上げにより、平成19年には約7億円の売上を計上した。
しかし、ゼネコンからの直接受注は、下請け業者の管理や資金繰り管理に、これまで以上に十分注意する必要がある。
この会社も下請け業者の施工ミスなどで諸経費を含めると赤字受注の案件が増加し、資金繰りが悪化したようだ。
受注価格の圧力から下請けから脱却を考えている経営者もいるだろう。
実際、記事の会社も直接受注にシフトすることにより、売上が1.7倍になっている。
だからと言って、下請けからの脱却について簡単に飛びついてはならないだろう。
下請け時代にはそれほど意識しない(まったく意識しない方もいるかもしれない)管理の手間やコストが規模の増大に伴い、増えていくのが普通だからだ。
ゼネコンと直接取引を始めたのだから、記事の会社の社長はやり手なのだろう。
しかし、残念ながら経営管理については疎かった、あるいは軽く考えすぎていたのかもしれない。
この会社は建設業だが、経営管理を軽視したため、経営を危うくするのはよく聞く話だ。
飲食チェーン店などで店舗を急拡大したために、失速した話は聞いたことがあるかもしれない。
しかし、経営管理体制の構築を小さな規模のうちから意識している企業は、飛躍のチャンスが巡って来た時に大きな混乱に陥ることなく、その波に乗れるだろう。
こういうニュースを読むと、決算書を作成するといった狭い範囲の管理に甘んじることなく、経営管理を意識してその体制を整備してもらいたいと強く思う。