株主価値というもの

ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長の記者会見から。
「私は会計上の売上高とか営業利益、純利益などに目線を置いて、もはや経営していない。何を目指しているかというと、株主価値だ。株主価値は投資会社として生まれ変わったSBGにとって、重要なものさしだ」と発言した。
株主価値と似た言葉に事業価値、企業価値というものがある。
事業価値は事業によって生み出されるキャッシュフローを現在価値で評価したものだ。
この事業価値に事業と直接関連しない不動産や株式などの非事業用資産を加算したものが企業価値になる。
そして、株主価値は企業価値から有利子負債等を差し引くことで計算する。
株主価値を目指して経営することは突飛な考え方ではない。
しかし、私たち中小企業が「売上高とか営業利益、純利益などに目線を置いて、もはや経営していない」というのは難しいだろう。
なぜなら、株主価値を高めるもっとも堅実な方法は事業から生み出すキャッシュフローを増やすことだからだ。
そして、事業からのキャッシュフローを増やすためには、売上高とか営業利益を増加させる必要がある。
もちろん、株主価値は事業と直接関連しない非事業用資産の価値を高めることでも達成できる。
孫さんが言う「投資会社として生まれ変わったSBG」は、非事業用資産への投資によって株主価値を高めていくことに軸足を置いたということなのだ。
しかし、これは高度のファイナンスのスキルなどがなければならない。
また、孫さんを見てわかるように投資した案件がいかに魅力的なものかを株主に理解してもらうための高いプレゼン能力も必要だ。