人材不足で苦労するのは給料額だけが理由か?
雇用で苦労している中小企業経営者は多いだろう。
給料を上げても人が集まらない、あるいはやっと採用したのにすぐ辞めてしまう。
こんなお悩みのある経営者には次の記事が役立つかもしれないのでシェアしよう。
ダイヤモンドオンライン記事:給料を上げても優秀な人材が辞めてしまう会社の「共通点」とは何か
給料や賞与は、生活の元手になるため、経営者が思う以上にシビアに考えている。
中小企業でも「給与規程」などを備えているところは多いだろう。
しかし、記事によると、そのような「形式的」な賃金制度だけでは、社員の不満や人材流出につながってしまうという。
そうならないためには公正な評価制度を含む「賃金制度」、つまり仕組みづくりが重要であるということだ。
記事の中で、同期の賞与に100円の差をつけて会社が混乱に陥った話が出てくる。
経営者は貢献度により差をつけてあげたいと考えたのだろう。
しかし、少なかった従業員はわずか100円の違いでも不満に思ってしまった。
この会社の問題はそもそも「全社員適正に評価できる体制」が整っていないかったことが原因なので、これを整備することが先決であると記事は言っている。
しかしながら、本当に「「全社員適正」に評価できる」ものなのだろうか?
評価制度を導入したものの、思ったほど効果を上げていないという会社もあるだろう。
「適正」であると思っているのは経営者だけで、従業員はそうでもないと感じているのかもしれない。
もし、同じ仕事をどれだけ効率的にこなしたかを図ることができるなら公正に評価できるはずだ。
たとえば、経理の仕事で、Aさんは1時間に100個の仕訳を入力をすることができるが、Bさんは80個しか入力できないとすればAさんの方が効率的なので賃金に差をつけることができるだろう。
しかし、この例ですら、本当は公正でないかもしれない。
もしかすると、Aさんの入力は簡単なものしかなく、Bさんは複雑なものが含まれていたかもしれないからだ。
いろいろ考えて見ると、「全社員適正」に評価するというのはかなり難しいことがわかる。
日本では、年功序列や終身雇用を前提にした、職務や勤務地を限定しない雇用をしてきた。
一方、欧米では自分自身の専門スキルを活かして、職務や勤務場所を絞り込むことができる雇用形態が主流だ。
つまり、欧米で主流の雇用形態は仕事内容が明確なのだ。
こういった雇用形態では「評価制度」が馴染むのだろう。
「評価制度」が生産性アップにつながったという欧米の成功例を日本の企業に導入してもなかなか上手く運用できないのは、こういったことに原因があるのではないかと思う。
とはいえ、日本型の雇用形態もトヨタの社長や経団連の会長が言うように今後難しい時代になるだろう。
そうなると、「賃金制度の仕組み」がしっかりしている会社はより有用な人材を集めることができると思う。
なお、評価制度までは難しいとしても、明確な賃金体系(給与テーブル)はなければならない。
そういったものがない会社では、従業員は将来のビジョンを描くことができないからだ。
曖昧な賃金制度のもとで、従業員が満足するはずがない。
経営者は100円の差に不満を持つ従業員の話を真摯に受け止める必要がある。
以下のサイトの資料を参考に考えてみると良いだろう。