上場企業が減少している!?

世界の上場企業数は過去最高であった2015年から500社減少し、2017年で4万5千社になったそうだ。
日本経済新聞記事:さらば株式市場、世界の上場企業数減少に転じる
特に米国では過去最高であった1996年の8千社からほぼ半減したそうだ。
記事のなかでは日本の上場会社数の推移については書かれていないので調べてみた。
日本の場合は、1990年以降の上場会社数は増加しており、減少に転じているということはない。
日本の上場会社数は2018年末で3655社(東証その他を含む)で、数の上では米国とそれほど大差がなくなった。
一般的に、上場すると次のようなメリットがあると言われる。
- 社会的信用が高まる
- 知名度が高まる
- 資金調達が容易になる
- 経営管理体制が高レベルになる
- 大きな創業者利益が得られる
このようなメリットを捨ててまで、上場をやめてしまうということはメリットよりデメリットをより強く感じるようになったということかもしれない。
あるいは、株式上場のメリット自体について、かつてほど強い魅力を感じられなくなっているのかもしれない。
記事によると、上場企業数減少の背景は、短期志向の不特定多数の株主や上場企業に課せられる厳しいルールを敬遠してとのことだ。
短期志向の株主がいると、試験研究などのような長期的な成長に欠かせない投資が難しくなる。
また、株式上場に上述したようなメリットがあるとしても、厳しいルールを順守するための監査報酬や人件費などのコストが掛かりするぎるというのもある。
実際、非公開化した経営者は経営の自由度が増した、(短期志向の株主の意向を考慮しなくてすむので)経営のスピードがあがったと言っている。
短期の株価の変動に一喜一憂するような株主の影響を排して長期的な観点から経営するためには非公開は合理的な選択であるのかもしれない。
加えて、株式市場での資金調達の代わりに、世界的なカネ余りの影響で多額の資金力のあるファンドから資金調達が容易になっていることがある。
さらに、かつての上場企業のように莫大な資金が必要なビジネス自体が少なくなっているというのもある。
また、一度上場して非公開化しても、ブランドが確立されている企業の場合は、顧客が大きく減少するなどといったこともないのだろう。
とすると、上場企業数が増加している日本の場合も、今後頭打ちになり減少に転じるかもしれない。
もともと長期的観点で経営している日本企業にとって短期的な利益志向の株主に対して良く思っていない経営者も多いだろう。
厳密に上場のメリットとデメリットを考えて非公開化を選択する経営者も増加していくかもしれない。