バカ売れする理由!失敗の少し先にある成功!?
こういった記事を読むと、ビジネスの成功は失敗のほんの少し先にあるんだなと感じる。
日本のガラパゴス工具「ネジザウルス」が世界中で飛ぶように売れる理由
エンジニアという会社の「ネジザウルス」という工具がバカ売れだそうだ。
このネジザウルスというプライヤーは、頭の潰れたネジを外すことができる優れものだ。
誰でもネジ穴が潰れたネジの取り外しで苦労した経験があると思う。
もちろん、通常のプライヤーとしての用途も備えている。
ネジザウルスのヒットまでには長い時間がかかっている。
同社の高崎社長はサラリーマンを経験した後、父親の会社を1988年に継いだ。
そこから製品開発を続け、開発した製品は800アイテムに及んだが、どれも鳴かず飛ばずだった。
ヒットのきっかけは頭の潰れたネジを外すことができないかと思いついたことだが、当初はなかなか売れなかったそうだ。
そこで諦めずに、製品のさらなる改良、販売ルートの開発、パッケージやデザインの見直しなどを行ったことが、2002年の大ヒットにつながった。
あきらめなければいつか成功するといった単純な話をしたいからこの記事を紹介しわけではない。
事実、高崎社長は800ものアイテムを開発し、どれもうまくいかなかったのだ。
その失敗した800の製品のどれか一つにでもこだわって売り続けたら、ネジザウルスのようにヒットしただろうか?
おそらく成功しなかったのではないかと思う。
では、ネジザウルスとその他の開発製品は何が違ったのだろうか?
重要なポイントは「頭が潰れているネジを外すしたい」というニーズに気付いたことである。
一般的なプライヤーは「頭が潰れたネジを外したい」に上手く応えることができなかったのだ。
おそらく他の開発製品はこういったニーズを発見することができなかったのだろう。
ネジザウルスはそういったニーズを発見したからこそ、他の開発製品と違い高崎社長はこだわり続けることができたのではないだろうか。
実はネジザウルスはマーケティングの基本的な考え方に合致する。
「ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である」。
ネジザウルスについて言えば「プライヤーを買う人が欲しいのは「頭の潰れたネジを外すこと」である」。
プライヤーを買う人にとって、ネジを外すことができればどんなプライヤー、いや外すことができるものであればなんでも良かったのだ。
うまく外すことができなかったので、「今ある製品」を騙しだまし使っていただけだ。
ネジザウルスはそのニーズに十分応えることができたため、もはや他の製品を使う必要はまったくない。
だから売れたのだ。
そして、ネジザウルスを買うであろう顧客(プロではなく一般の人を想定していたのだろう)に合わせて新たに販売ルートを開発し、パッケージやデザインを刷新していったのだ。
ネジザウルスのヒットは緻密なマーケティング戦略に支えられているのが、この記事を読むと分かる。
記事の中で高崎社長が重要なことをおっしゃっているので、最後に引用しよう。
「海外では市場やユーザーの考え方がわからないので、ついつい大ざっぱな売り方になってしまいます。セグメンテーション(顧客ニーズの明確化)、ターゲティング(参入市場・ユーザの選定)、ポジショニング(顧客の利益)の、いわゆるSTPマーケティングを明確にすることが重要です」
記事の中ではネジザウルスの海外展開の話に絡んで上記のお話しをされているが、多くの中小企業が直面する国内販売でも当然言えることである。
なお、当事務所の無料経営情報サイト「商道(あきんどう)」でも、関連した記事(「売上を増やしたいなら、真の顧客ニーズを理解せよ!」)を書いているので興味のある方はご覧いただきたい。