企業家と挫折
企業家の書いた本を読むと、挫折体験をしている人が案外多い。
順風満帆で今に至るような企業家はそういるものではないのだろう。
もちろん、それは挫折と言えないようなものから、崖っぷちにたったような深刻なものまでさまざまだ。
たとえば、サイボウズ株式会社の青野慶久社長は苦境の最中に、
「あの車が暴走して私をはねてくれないだろうか。そうすれば、会社の苦しみから解放される」
と死を望むほど追い詰められたことがあったという。
そして、この時の体験によって、
「自分が生まれ変わり、リセットされた実感は、開き直りにも似た勇気をもたらしてくれた。そしてそのことが「今の自分」を形作っている」
と言う。
私は、こういう崖っぷち体験をした社長は、どこか禅僧のようなたたずまいを感じる。
そういえば、ジャパネットタカタの創業者である高田明氏も当初は翻訳会社で起業したそうだ。
高田氏もCMの甲高い声とは別人のように、普段は声のトーンは低く、物静かで落ち着いた佇まいの人だ。
この高田氏は失敗について多くを語っています。
「人は失敗すると反省し、今のままで良いかと考える。反対に成功するとどうしても同じやり方を続けたくなるもの。しかし、それでは成長や発展はない。」
「多くの人は失敗したことを後悔するのではなく、ベストを尽くさなかったことを後悔する。」
誰にとっても失敗や挫折は嫌なことだろう。
しかし、それが大きいか小さいかは別として、成功と失敗は繰り返されるものだと思う。
まさに、「禍福は糾える縄の如し」だ。
私も挫折したとしても、成長に活かしていきたいと思う。
なお、起業を目指す人や起業して間もない人は、失敗でも成功でも結果が見えないということが苦しかったりする。
そんな人にはヘンリーフォードの言葉を贈りたい。
「努力が効果をあらわすまでには時間がかかる。多くの人はそれまでに飽き、迷い、挫折する」