送料無料について思うこと
楽天が送料無料で出店者ともめているようだ。
日経ビジネスオンラインの記事:楽天を襲う内憂外患、送料無料を巡り出店者が反旗
記事によると、楽天市場でこれまで送料無料の基準が11,000円だったところ、3,980円に引き下げられるとのこと。
11,000円の時には平均客単価がその金額に近い水準であったが、引き下げられると平均客単価は下がるであろうし、手数は増えるとして業者側は反発しているそうだ。
物にもよるが、消費者は送料無料になるようにまとめ買いするので、送料の基準が引き下げられるとまとめ買いの金額も下がるというわけだ。
そうなると、消費者は今まで11,000円まとめ買いしていたのを、3回に分けて買うようになる(送料無料の基準がおおよそ3分の1になったから)。
これにより、当然、業者の商品送付に係る手間は3倍になる。
こういったニュースを聞くと、「送料無料」というのは難しいものだと改めて思う。
確かに、送料無料は消費者にとって魅力的であるため、マーケティング上は有利に働く。
しかし、送料は必ずかかるものなので、送料無料でなければならないと考えている消費者ばかりではないだろう。
特に希少なものや急に必要なものについては、送料が掛かっても欲しいと思う人も多いはずだ。
むしろ、消費者が不満に思うのは、送料が想定しているより「高い」というケースだろう。
消費者は通販を利用するときに、大まかな送料を想定しているものだからだ。
もちろん、「運送代」の他に手間賃を送料に上乗せすることは問題はない。
しかし、商品価格とアンバランスな送料になっているケースを見ることもある。
このような場合、消費者は商品価格を安くしたかわりに、送料で元をとろうとしていると勘繰るだろう。
つまり、お客をおびき寄せるための価格に「誠実性」がないと消費者は考えるのだ。
一度でも不信感を感じた業者からの買い物を控える消費者は多いはずだ。
送料無料は強力なセールスポイントとなるが、誰しも簡単にできることではない。
無理して、送料無料を実現しても、価格に誠実性がないと消費者が思ってしまうと、逆効果になってしまうだろう。
こうなると、つねに新たな客を求めて、ねずみが回し車で走るような商売をすることになる。