財政政策とMMT

日経(2020/1/15)大機小機「今度はMMTですか?」について思ったこと。

 

日本はデフレ脱却のために、いわゆるリフレ派が主張するインフレターゲットの導入による積極的な金融緩和政策(簡単に言うと、世の中に出回るお金を増やす)を行ってきた。

しかし、現実の経済を見るかぎり、リフレ派の金融政策は、あまり効果的ではなかったようだ。

ちなみに、経済政策は大きく「金融政策」と「財政政策」の2つだけだ。

この2つの経済政策をうまく組み合わせて経済政策は実行されるが、巨額の財政赤字の国では財政政策は分が悪い。

 

金融政策が効果がないとすると、「財政政策」に頼らざるを得ないが、日本は巨額の財政赤字であるため、大胆な財政拡張は取りずらい。

さらに、バブル崩壊後にマスメディアにより「ハコモノ行政」が散々批判されてきたため、なおさら財政政策は慎重にならざるを得ないのだろう。

 

しかし、MMT(現代貨幣理論)というものが最近注目されているようだ。

記事によると、

財政赤字は中央銀行が通貨の増発でファイナンスすればよい。公的債務はどれだけ膨張しても心配無用

ということらしい。

なお、どのような国でも、中央銀行による通貨の増発でファイナンス(つまり、国債の発行)により財政拡張できるわけではない。

日本のように自国通貨建国債を発行できる国だけが「心配無用」と言えるようだ。

なぜなら、政府の借金は国民の資産となり、日本全体ではチャラとなるからだ(だから、政府部門が巨額の赤字を抱えても、こういった意味で日本経済は破綻しない)。

 

この記事は、高い確率で地震が発生する可能性があるので、赤字を増やすような政策は慎重になるべきだと言いたいようだ。

大震災に見舞われれば、巨額の財政赤字を抱える日本経済は破綻する危険性があるかららしい。

 

確かに、関東大震災は、GDPの35%(現在に換算すれば170兆円)の被害があったそうなので、予想される大地震が起こればひどいダメージを日本経済を負うことになるだろう。

しかし、この場合は供給能力が落ち込むので、インフレに向かい実質的に借金は目減りするのではないのだろうか。

 

また、大地震が起きても、自国通貨建て国債の発行である限り、政府の借金は国民の資産であることは変わらないだろう。

さらに言えば、財政拡張を主張する人たちは、テーマパークのような「ハコモノ」を作るために財政支出すると主張しているわけではなく、大震災に備えるような財政支出をすべきと言っている。

 

現状での金融政策効果が認められないときに、財政政策とその正当性を主張するMMTは、多くの人にってとても魅力的に映るのだろう。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA