接待費は本当に効果があるのか!?

日経新聞「接待、費用対効果に陰り」(2019年12月23日)の記事から。

 

接待交際費は言うまでもなく、売上増を主な目的として支出している。

記事では、

13年度の営業収入10万円当たりの交際費は206円だったが、17年度は251円となった。同じ10万円の売上高を生み出すための交際費が2割多くかかるようになった計算で、交際費の効果は下がった

と推測している。

 

また、ある企業の営業担当幹部は、

対面よりも、顧客データの分析をもとにした電話とメールによる営業の方が効果がはるかに高い。接待で売り上げが上がる感覚は全くない

と記事の中で語っている。

 

この発言をドライに感じる経営者の方もいるかもしれないが、営業担当としては優秀な人だと思う。

電話とメールによる営業を接待と比較し、接待の効果はほとんどないと言っているが、営業活動の効果をしっかり検証しているのだろう。

 

表面上は支出を正当化しやすい接待費は、「会社のお金」の無駄遣いになっているかもしれない。

そもそも、接待についてその費用対効果を厳密に測るのは難しい(営業活動が「接待」だけなら別だが)。

 

だから、営業の効果をしっかり測定している企業は接待に重きを置かなくなるのは当然の流れだろう。

 

とはいえ、接待の力を過大評価してしまうこともわからないではない。

人は他人から何か施しを受けると、お返ししなければならないと思う「返報性の原理」が働くからだ。

つまり、意識しようがいまいが、取引先を接待することで見返りがきっとあるはずだと期待してしまうのだ(なお、返報性の原理自体に、いわゆる賄賂的な意味はない)。

接待先が先の営業担当幹部のような人であったら、おそらく「返報性の原理」を感覚的に理解しているはずだ。

だから、返報性の原理のスイッチが入り、本来の商品・サービスの検討が甘くならないように、接待を受けることに慎重になるだろう。

 

また、お中元、お歳暮がコンプライアンスの観点から受領しない企業が増えたように、接待を受けること自体も社内で制限されるところは増えていくだろう。

日経ビジネス:接待は「受ける側」だけの問題ではない!

 

それでも、接待の力を信じたい経営者もいるだろう。

もちろん、それは自由だ。

しかし、あなたのライバルは、商品・サービス自体の力やプレゼン力に磨きをかけ取引先を攻略しようと虎視眈々と準備しているかもしれない。

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