貿易黒字が大幅に悪化!?

財務省は2019年上半期(1~6月)の国際収支速報を8月8日に発表した。

 

多くのメディアは貿易収支が「大幅悪化」と報じている。

経常収支のうち輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2242億円の黒字だったが、前年同期に比べ87.4%減少したから「大幅に悪化」というわけだ。

 

国際的な政治状況(米中や日韓)も良くないので、これから日本経済は大変なことになるのではないかと心配する人もいるかもしれない。

 

実は、貿易収支の「黒字・赤字」を企業経営における「黒字・赤字」と同じ意味ではない。

貿易収支は輸出から輸入を引いたものである。

貿易黒字は単に輸出が輸入より多いことであり、反対に貿易赤字は単に輸入が輸出より多いことだ。

貿易赤字というと悪い意味と思ってしまうが、単なる輸入超過を意味するにすぎない。

だから、会社の決算と違い赤字といっても、「儲けた」、「損した」ということではないのだ。

 

ここで、2019年上期(1月から6月)の国際収支表を見てみよう。

 

国際収支表は複式簿記の原理で作成されるため、左側の経常収支がプラスなら右側の金融収支もプラスになる。

経常収支がマイナスなら、金融収支もマイナス。

貿易収支(経常収支のなかの一項目)がプラス(つまり、黒字)であれば、そのプラス分は海外への投資などに運用される。

そのため、対外純資産(外国の株式や債券など)が増加し、金融収支はプラスになる。

長い間、日本は貿易収支のプラスを続けてきたために、対外純資産が大きくなり、そこからの配当や利子収入などの収入が大きくなっている(国際収支表の「第1次所得収支」で10兆5,923億円)。

 

こういったことを言うと、黒字が大幅に減ったり、赤字になると、今までの日本の「勝ち」パターンが取れなくなるのでまずいのでないかと思うだろう。

 

しかし、貿易収支がプラスなら「勝ち」、マイナスなら「負け」ということではない。

もしそうであるなら、貿易赤字を垂れ流し続けているアメリカは日本以上に景気低迷していなければおかしいだろう。

貿易黒字は、国内で消費できなかった財やサービスを単に外国が買ったにすぎない。

だから、「貿易黒字が増えれば、経済成長する」とか、「経済成長したから貿易黒字が増える」という関係はない。

 

貿易収支のプラス→金融収支(対外純資産増加)という流れではなく、金融収支が今では主役になっているのだ。

各国資本の争奪、つまり、いかに自分の国に投資してもらえるか競争している。

 

最近では日本も貿易赤字基調の国に変わってきている。

そして、前述したように貿易赤字であることを恐れる必要はない。

国内の需要が供給より下回っているから、そのあまりを輸出するのだ。

この意味で不況だから貿易黒字が増えるのであって、貿易黒字が大きいから国が豊かになるわけではない。

 

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