顧客はそれを求めているのか?

日産の象徴である新型スカイラインが2019年9月から販売されるそうだ。

新型スカイラインには先進運転支援技術「プロパイロット2.0」機能を搭載している(ハイブリット専用のみ)。

プロパイロット機能は、ナビゲーションシステムで目的地を設定し高速道路の本線に合流すると、ナビ連動ルート走行を開始する。

ドライバーが常に前方に注意し、ステアリング操作が確実にできる場合、同一車線内での手放し運転が可能だ。

またナビゲーションと周囲の360度のセンシング情報に基づいて、ルート走行中の分岐や追い越しのための車線変更の適切なタイミングをシステムが判断するそうだ。
この時、ドライバーがハンドルに手を添え、スイッチ操作で承認することで、車線変更や追い越し、走行車線への復帰もスムースに行う。

 

ターゲット層は「前向きにアクティブに人生を楽しむクルマ好き」だそうだ。

このため、新たにガソリン車には3.0リッターV6ツインターボエンジンを採用し、スカイライン史上最高の400馬力を実現したラインアップを追加した。

これにより、ターゲット層はプレミアムスポーツセダンとしての運転の楽しさと圧倒的な走行性能の高さを追求できるというわけだ。

 

しかし、なぜ「ハンズオフ」機能をスカイラインに掲載したのであろうか?

スカイラインは機械まかせでなく、ハンドルやアクセル操作自体に価値を見出す顧客の方が多いだろう。

つまり、ハンズオフは想定するターゲット層としっくりしないのだ。

確かに、「前向き」な人は新技術を積極的に取り入れるかもしれないが、「車好き」は単なる移動手段として車を見ないはずだ。

だから、今までスカイラインを支持してきた顧客層はハンズオフ機能など見向きもしないのではないだろうか。

もっとも、スカイラインはスポーツカーとしてのGT-Rと分離したため、純粋に走りを楽しみたい人はGT-Rを選ぶということなのかもしれないが・・・。

 

もし、この新型スカイラインがラグジュアリーカーであるのなら、逆に「3.0リッターV6ツインターボエンジンを採用し、スカイライン史上最高の400馬力を実現」する必要はないだろう。

もっと乗り心地をとことんまで追求すべきだ。

 

新型スカイラインがラグジュアリー路線を進むにしても、今まで築いてきた「スカイライン」というブランドを上手く活用するのは難しいと思う。

なぜなら、「スカイライン」はスポーツカーとしてのイメージが強いからだ。

路線変更するとしても、ラグジュアリーカーとしての「スカイライン」が浸透するまで何年もかかるだろう。

 

このように折角築いたブランドを知らずに傷つけてしまうことはよくあることだ。

高価格帯の家具販売でブランドを築いてきた大塚家具も同じブランドで「中・低価格帯」に進出したことで、ブランドを毀損し、失敗した。

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